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サスティナブルな素材とは??ー素材の種類から世界の素材までお届けー
ファッションを題材とする作品として有名な映画と言えば、「プラダを着た悪魔」。
ファッションには何の興味もなかった女性が、「文芸誌での仕事」への足がかりとしてファッション雑誌『ランウェイ』の編集部へと就職。ファッション業界に対し絶大な影響力を誇る上司の悪魔のような要求に耐えてい中で、ファッションとアシスタントの仕事の面白さに目覚めていく。
漫画なら、「ランウェイで笑って」。
ファッションデザイナーを志望する少年と、低身長ながらもトップモデルを目指す少女の姿を描く日本の少年漫画。
ファッションはストーリー性もありキラキラと、いつもきらびやかな世界を魅せてくれます。
その一方で、「大量生産・大量消費・大量廃棄」システムで、世界全体の温室効果ガスの8%を排出し、石油産業に次ぐ環境汚染を引き起こしているといわれるファッション業界。
ファッション業界は2015年の国連サミットで採択されたSDGsとこと関わりが深いと言えるでしょう。
(もちろん私たち全員が考えなくてはいけないことですが)
そんなファッション業界では、連日ネットニュースで取り上げられるように、業界をあげて「サスティナブルな」ファッションを作りあげようとしています。
今回はそんなファッション業界で使用される素材について紹介します。
サスティナブルと言われる素材たち
自然素材
麻
吸水発散性や通気性に優れ、サラッとドライな肌触りが魅力な夏の召し物によく使われる麻。
麻は、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)などの総称です。
水をほとんど使わずに成長し、通常は化学肥料や農薬を必要とせず収穫量が多い上に、根っこから抜き取られ、繊維から種、根にいたるまで一切捨てるところがないことから、環境負担が少ない天然繊維と言われています。
驚くことに、森林の約4倍CO2を吸収するというスーパーエコ素材。
更には、バイオエネルギーの燃料や、エコプラスティックの原料としても注目さたり、医療用に利用されている国もあるほどです。
合成素材
再生プラスチック
ここでは、国内随一の技術を誇り業界をリードしている日本環境設計さんをベースに紹介します。
日本環境設計では、回収した古着からポリエステルを抽出し、再生ポリエステル樹脂に戻し、再生ポリエステル糸を生産しています。
ケミカルリサイクルという最新の技術を用いて、回数を重ねることによる品質の低下という課題を克服し、繰り返し高品質を保った状態での再利用が可能になります。
再生プラスチックは最新の技術を用いることで、限りなく再利用でき、廃棄物をほぼ出さないのです。
バイオマスプラスチック
主にトウモロコシのデンプンなど植物資源を原料にすることで、石油資源の使用料を抑えることができます。
バイオマスプラスチックを燃やせば二酸化炭素が発生しますが、その炭素は元々植物が持っていたもので、光合成によって再び植物の内部に吸収され固定化されます。長い時間軸で見ると、炭素は植物とプラスチックをぐるぐる回っているので、「カーボンニュートラル(中立)」なのです。
Mugendai(無限大) 環境を守る新しいプラスチックを作る――原料は植物バイオマス。使用後は用途に応じて分解速度をコントロール 2020.7.30より https://www.mugendai-web.jp/archives/11672
木材のセルロースやミドリムシが体内に蓄える「パラミロン」など、何からプラスチックを作るか、原料の研究が日々進められています。
生分解性繊維
微生物によって分解され、最終的には水と二酸化炭素に完全に分解される素材。
廃棄にあたって環境にかかる負荷が低いのが特徴です。
ドレスによく用いられるスパンコールも、生分解性のものが誕生しています。
そんなスパンコール、バイオシークイン(Bio Iridescent Sequin)はでんぷん・天然染料・水・植物由来のグリセリンでつくられ、最終的に堆肥になると言われています。
https://www.elissabrunato.com/bio_iridescent_sequin.html
生分解性バイオマスプラスチック
石油使用料を抑えるバイオマスプラスチックと、分解することで脱プラを可能にする生分解性プラスチック。
この2つの特性を併せ持つ「生分解性バイオマスプラスチック」の開発のための研究が進められています。
似た言葉が出たのでここで一度整理しましょう!
バイオマスプラスチックは「NOT石油」で、水と二酸化炭素に分解されるかどうかは別の畑のお話です。
生分解性プラスチックは「水と二酸化炭素に分解されるか」どうかで、原料が石油の場合もあります。
環境に良いと考えられる理由がそれぞれ別物なのです。
バイオマスプラスチックは「再生可能な生物由来の資源が原料」で、地球温暖化問題の解決(=脱炭素)の一つとして研究が進められています。
生分解性プラスチックは「水と二酸化炭素に分解されて自然に還る」ため、プラスチックゴミの削減・海の豊さを守ることに繋がります。
※生分解性プラスチックの材質には複数種類がありコンポスト装置(堆肥化)が分解条件であったりと材質によって分解条件がそれぞれ異なり通常の土壌環境では分解されない物もありますので容易に自然環境に廃棄することは避けてください。
無水染色素材
従来の染色では、
・生地の汚れ、油分を落とす
・染料を生地に定着させるスチーム
・染料や薬品を洗い落とす
など、各工程でで多くの水の使用、廃水によって環境に大きな負荷を与えています。
そんな中、全く水を使わない無水染色が登場しました。
それが、超臨界二酸化炭素(scCO2:supercritical CO2)
水を使わずに二酸化炭素で染色する仕組みです。
一部実用化され、あらゆる繊維を染められるよう、研究が進められています。
世界ではこんな素材も!
Orange Fiber/オレンジファイバー
http://orangefiber.it/en/collections/
イタリアでは、ジュース製造による廃棄物が70万t以上に上ると言われています。
アドリアナ・サントノキートさんは、柑橘類の皮に着目し、セルロース繊維を抽出して紡げば糸になることを発見しました。
そして立ち上げられたブランド、オレンジファイバーは、2017年に長い歴史を持つイタリアの老舗「Salvatore Ferragamo/サルヴァトーレ・フェラガモ」のシグネチャのスカーフに採用されました。
あのフェラガモに認められるほどの見た目と手触りが魅力の一つです。
アディダスのスニーカー
https://shop.adidas.jp/sustainability/creativity_versus_plastic/
海に浮かぶプラスチック問題。
この問題に対する試みで最も知られているのはadidasによるシューズの製造ではないでしょうか?
アディダスは、海洋プラスチックゴミを原料としたシューズを500万足以上も世に生み出してきました。
2024年までに再生ポリエステルの使用割合を100%にするという目標に向け、海洋プラスチックゴミの回収に提携しているクリエティブな環境保護団体Parley for the Oceans/パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズとタッグを組んだコレクションを発表しました。
マイクロシルクとマイロ
https://boltthreads.com/technology/microsilk/
生物学者3人組が立ち上げた素材開発のカリフォルニアの会社、BOLT THREADS/ボルトスレッズ。
この会社が生み出したマイクロシルクとマイロは今、サスティナブルな素材として様々なブランドが取り入れています。
「クモが、糸は柔らかくて、強くて、分解可能(biodegradableバイオディグレイダブル)な素材をつくる姿に魅了されて研究していた。」タンパク質から人工的に製造したクモの糸(Micro silk/マイクロシルク)。
キノコの菌糸体細胞から生み出されたのがMylo/マイロです。
創業者の1人であるデヴィッド・ブレズラウワーさんは、
「捨てられたときに環境への負荷がいちばん小さい素材をつくることが、大きな変化につながるパズルのピースのひとつになると信じている」
とインタビューに答えています。
https://wired.jp/series/seeds-of-change/bolt-threads/
現在、そしてこれからもファッション業界のキーワードになるであろう「サスティナブル」
服を購入する際に目にすることが増えるのは間違いなしです!
一歩先のサスティナブルな生活のヒントを今後もお送りします。